専門家と経験者に聞く マンション投資で失敗しないためのメソッド/一棟/中古/大学が移転してしまった

大学が移転してしまった

大学生狙いでマンション投資をしたNさんの体験談

Nさんが購入した中古マンションは、郊外にある私立大学近くに建つ物件でした。

最寄駅からは徒歩20分強と少し離れていますが、それでも大学生狙いでマンション投資には絶好の立地だと考えていました。

周辺環境をチェックすると、やはり大学生狙いと思われる2階建てのアパートが建ち並んでいます。

一方で、マンションは希少。セキュリティが重視されるようになった昨今、マンションのほうが女子学生を中心に需要が期待できると考え、購入することを決めました。

初年度は入居率100%。Nさんの読み通り、入居者全員が大学生で、そのうち8割が女性でした。実質利回りも6%で、経営も安定しています。
しかし、この好景気も長く続きませんでした。

移転発表―去り行く大学生と入居者

購入した翌年、大学は突然「キャンパスの移転」を発表します。

この大学の本校は都心にあり、Nさんが所有するマンションの近くにあるのは、郊外キャンパスのひとつです。少子化の影響で、大学生の数は減少。大学の“都心回帰”が進んでいるところまで、Nさんは読み取れませんでした。

ただ、郊外キャンパスは完全になくなるわけではなく、1学部のみ残すというのが大学の方針です。それでも、多くの生徒は新年度を迎えると引っ越していき、Nさんのマンションも入居率は3割まで低下してしまいました。

期待を寄せるのが、残った1学部の新入生です。しかし、入居者のほとんどが3月末のギリギリまで入居していたこともあって、入居希望者が内覧できるのは4月に入ってから。年度替わりの客付けにも失敗してしまい、結局新しい入居者は現れませんでした。

学校に近いという理由で、駅から離れたマンションに投資したNさんは、ついに売却を決意します。

ところが、ニーズの低い物件になり下がった中古マンションだけに売却は難航し、購入時の半価以下でしか売れませんでした。

「駅の近くだったら、まだ需要があったかもしれない」と悔やむNさん。大学生狙いでも、安定した運営ができないこともあると痛感したようです。

マンション投資の専門家・高桑良充氏が解説

高桑良充氏プロフィール

カイロスマーケティング株式会社 CEO高桑良充氏

カイロスマーケティング株式会社
CEO 高桑良充氏

賃貸仲介・管理業務、戸建てマンション販売業の企業に就職。その後、中小企業の財務戦略としての不動産活用法を提案する業務を他社で積んだ後に、自身が培ってきたBtoBにおける不動産活用のスキームを活用し、個人投資家の資産形成のサポートをするために、カイロスマーケティング株式会社を立ち上げた。

彼のモットーは、「顧客の望まない物件を提案する」事である。

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1つの企業や大学に頼る投資は危険

私が物件を選定するときに重要視しているのは、近くにまとまった商圏があるかどうか。

このまとまったというところが非常に重要です。

今回の件は、大学ですが、大企業の工場が近くにあるからなど、1つの賃貸需要に依存する考え方は危険です。

Nさんの件のように、いつ移転するか分かりません。

複数の賃貸需要とニーズ分析

大学生狙いであれば、私なら複数の大学が隣接しているような学生都市を狙います。

1つの大学が移転しようとも、他の大学があればまだ賃貸需要が激減することはありませんから。もちろん1つ目の移転が起こった段階で、売却の検討も始め出すかもしれませんが。

そしてそこまでターゲットが明確であれば、設備投資にお金を割くよりも賃料を相場価格よりも安めに設定することで選ばれるマンション・アパートであろうとします。

賃貸需要を知ろうとする姿勢やターゲットを明確にするやり方は、マンション投資において非常に重要なことですが、その会社に、学校に命運を左右されてしまうようなやり方は投資ではなく博打です。